西暦2358年、瘴気は世界を覆い、飲み込みました
地上に暮らしていた人類の多くは死滅し、残された人々は瘴気から逃れようと宇宙へ救いを求めました
皮肉にも遅々として進まなかった宇宙開発は、瘴気という人類共通の敵を得て、一気に加速
多くの人類を乗せた船は、果てなき暗闇へと旅立っていきました
けれど、すべてを救うには遅すぎたのです
ようやくその歩みを速めた宇宙開発をあざ笑うかのように、瘴気は日ごとに世界を覆っていきました
脱出船の定員からはじかれ、地上に取り残された人々は、それでも何とか生きようと瘴気を避けて上へ上へと逃げていきました
こうして、人々は何とか安住の地を山の頂に見つけたのです
瘴気は重く、濃い瘴気は地表を白くたゆたう海のようでしたが、船を浮かべることはできず山の頂は孤立していました
遠く向こうに見える山の頂に同じく上へ逃げた人々がいることは、かつての人類が残した無線通信で知ることができましたが、行き来もできぬまま長い時間が過ぎていきました
そうして500年が過ぎたころ
白き瘴気の海を裂き、巨大な樹々が天へ向かって伸びてきたのです
瘴気の影響か、かつての地球では考えられないほどの高さにまで成長した樹々は己の自重を支えきれず、枝を伸ばし互いに絡み合いました
絡み合う枝は道となり、人々は梢の上を行き交うようになりました
人々はそれを世界を構成する樹、世界樹と呼びました
今では世界樹は、海さえも越えて世界をつないでいます
こうして地球は梢の世界となったのです
そして紡がれる「梢の世界の片すみで」暮らす人々の物語
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